追いかけて気づいたこと
交通ルールがあってこその景色
ここからはキンデルダイク
クルーザーがいない白鳥だけの道
ハウステンボスの街に流れる、全長6kmにわたる運河。この運河には様々な生き物が住んでいます。その中でも、よく見かけるのが白鳥。
一見、優雅に運河を進む白鳥。でもこの白鳥には「とあるルール」があるようです。
ニュースタッドバス停近くの運河沿いを歩いていると、1組の番いに出会いました。しばらくは毛繕いをしていたのですが、キンデルダイクに向かって泳ぎだしたので、なんとなく追いかけてみました。
ここはクルーザーが通る場所ではありません。橋の下を通り抜けゆったりと進む姿は、まるで、白鳥のためだけの通路。
しばらく見ていると、キンデルダイクへの最後のトンネルに差し掛かりました。この先にはカナルステーションもあり、たくさんのクルーザーが行き交う場所。心配になりながら見ていると、案の定クルーザーがやってきました。一隻目は目の前を通り過ぎ、二隻目。
「あ、ぶつかる」
と思った瞬間、白鳥がぶつかる直前で止まっちゃいました。しかも、通り過ぎたのを見計らったかのように、また進みだしたのです!
他の場所で注意深く見てみると、やっぱり同じ行動。クルーザーがやってくると、ちゃんと脇に逸れています。
乗っている人もびっくりするほど、すぐ側にいて、本当に「ぶつかる!」と思うような光景をたくさん見ましたが、やっぱり、みんなちゃんとぎりぎりで止まっているんです。
しかも、通り過ぎた後は、何事もなかったかのように運河を優雅に進んでいて、心配した私が、なんだか可笑しくなっちゃいました。
産まれも育ちもハウステンボスの白鳥たち。ちゃんと「交通ルール」を守って、生活しているのですね。
(写真・文/水上 由美)