海とヨットを愛するキースレイノルズさん
海面を滑る風が帆の中で大きく膨らむ。
ヨットはずんずん進む。
前へ前へ。
そのヨットのスタンからは細波が真直ぐ線を描く。
私がその時目にした絵は「Pacific Trade winds -JPN30」
1995年アメリカンズカップにエントリーされた、日本のヨットが太平洋でレースに備えていて航海している場面を描いたもの。
キース・レイノルズさんは海とヨットをこよなく愛する、現役の画家。
御歳78。ワシントン州シアトルに生まれて、アートセンターカレッジオブデザインへ入学し博士号を取得。
アメリカンズカップの公式ポスターを12年間手がけたるなど人々の魅了する作品を多数作り続けている。
ハウステンボス美術館に来られてからも、黒い鞄から三角定規、黒のパイロットの細い水性ペン、鉛筆、消しゴムを取り取り出し年齢から想像もできないぐらいの創作意欲でスケッチブックに描いていた。
それも、何も見ずに、自分の今まで見てきた景色を頭の中から手と伝って幾千の細か線で描き出され一つの絵が完成していく。
その様子は圧倒された瞬間だった。
彼の頭の中にはハウステンボスもインプットされたことであろう。
(写真・文/白仁田 順子)